時は2XXX年、大気汚染により空が晴れることのなくなった地球からは青空も星の瞬きも消えてしまった。
一方、綺麗な地球と引き換えに、発達した文明により大気圏の外にある宇宙ステーションまで気軽に星を見に行く技術が確立されていたが、スラムで生まれ育ったカメオがそこへ行くことなど夢のまた夢の話だった。
そんなある日、シン太郎が自慢気に宇宙ステーションへ行ってきた話をしていた。
生まれて初めて見た眩い星はとても綺麗だったが、それに対して眼下の地球の海は泥のように汚れ、陸地も砂漠化し枯れ果てていて愕然としたという。
スラムの仲間たちは興味津々にその話を聞いていたが、そんな中シン太郎は嘘を吐いているとカメオが気付いたのは何故だろう。
転載元: 「失われた空の上に」 作者: エルナト (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/1940
地球から空が見えないのだから、空から地球も見えない、つまり、汚れた地球の海や砂漠化した大陸も汚れた大気が邪魔をして見えるはずがないと考えたのだ。
しかし、シン太郎がスラムの子供達に、自分達でも宇宙ステーションに行くことができるのだと希望を持たせるために吐いた嘘だと気付いていたので、カメオがそれを指摘することはなかった。