N市には、バスが停まらないバス停がある。
にもかかわらず、このバス停は人々の役にたっている。
いったいなぜ?
転載元: 「バス、停まらない。」 作者: アシカ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/1931
N市にあるシンディ養護施設では、外に出ようとするアルツハイマーの老人に頭を悩ませていた。彼らは、短期記憶こそ機能しないものの、長期記憶は残っていることが多い。すなわち、しばらくすると自分が何をしているのか忘れてしまうものの、公共交通機関に乗れば移動できることは覚えているのだ。外出を望む老人を引き止めようとするとトラブルが生じ、かといってそれを認めてしまうと行方不明になるかもしれない。バス停ができる以前は、老人がこっそり外出するも、途中で帰り道が分からなくなって保護されるということが頻発していた。
しかし、近くに偽のバス停ができてからは、こうした問題は激減した。まず、老人が出かけようとした際は、スタッフはバスを使うよう促す。老人はバス停で待っているうちに、自分が何をしようとしていたか忘れてしまう。頃合いを見計らって、スタッフが中で待っていようと声をかけ、揉めることなく施設に連れ戻すのである。
こうして偽のバス停は、施設の利用者やその家族、そこで働くスタッフの役に立っている。