一度きりのウミガメのスープ

ある男が、とある海の見えるレストランで人気メニュー「ウミガメのスープ」を注文した。

男はその味に魅せられ、その日からこのレストランに頻繁に訪れるようになった。
しかし、それから男が食べたのは別の品ばかりで、「ウミガメのスープ」を再び食べることはなかったという。
一体なぜ？

料理人を志す男は、かの有名な海の見えるレストランに来店し、一番人気のウミガメのスープを注文した。

一口で男は衝撃を受けた。こんなにうまいものは生まれて初めてだ。
このような絶品料理を作れるシェフの腕前に脱帽した男は、シェフのもとでその技術を学ぶため、この店の従業員となることを決めた。

晴れて海の見えるレストランで働くことになった男。
嬉しいことに、昼にはまかないとして店の料理が食べられたのだが、ウミガメのスープを食べることはできなかった。
というのも、まかないには余った食材が使われるため、必然的にあまり人気のないメニューを食べなければならなかったからである。