ウミオは、新興宗教の勧誘が中途半端だったことがきっかけで、入信した。
同時刻、カメオは、自分がすべてを失ったのは、新興宗教の勧誘が中途半端だったせいだと思った。
どういうことだろう?
転載元: 「新興宗教の光と闇」 作者: 由布院 (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/1507
事件の一つの原因は、カメオの習慣であった。
カメオは外出先で鍵を失くしてからというもの、
家に施錠した後の鍵を、ダイヤル式の鍵がついたポストに入れて出かけていたのだ。
その日、カメオは家に帰ると愕然とした。ポストの中に鍵が入っていなかったのだ。
慌てて家に入ってみると、扉に鍵はかかっておらず、室内が何者かに荒らされていた。
そして調べてみると、通帳や印鑑を含め、高価な物がごっそり盗まれていた。
加えて部屋の中には、盗人が使ったであろう、この部屋の鍵が落ちていた。
カメオは途方に暮れつつも、考える。
どうして盗人は、カメオの家の鍵がポストに入っていることに気付いたのだろう?
そう考え、改めてポストを確認したカメオが見たものは、
二つ折りで中途半端にポストに挟まった、新興宗教の小冊子だった。
ウミオは最近金に困っていた。仕事もなかなか見つからず、もう神にでも縋りたい思いだった。
そんな彼が当てもなく町を歩いていると、ある家のポストが目に入った。
目立つ新興宗教の冊子が、ポストに入りきらずに挟まっていたからだ。
冊子によって、ポストの開口部には大きく隙間ができていた。
覗き込むという程でもない。ちらっと隙間を見たウミオは驚いた。
その家のものであろう鍵が、隙間から差す夕日を反射していたからだ。
その妖しい輝きは、彼の善良だった心を揺るがすには、十分すぎるものだった……。
目ぼしいものを盗んだ後、ウミオは何かから逃げるように新興宗教の門を叩いた。
これも神の導きに違いないと、どこか言い訳めいた言葉を口にしながら。
そして同時刻、カメオはあの中途半端な勧誘さえなければと、新興宗教を恨むのだった。