彼の故郷の砂浜で12本のペットボトルを拾った私は彼の願いはきっと叶うと信じずにはいられなかった。
一体どういう事かわかるかい?
転載元: 「らいふごーぞぉん」 作者: つのめ (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/1445
3年前、孤島に漂流した彼と私は手紙が誰かに届く可能性を上げる為に
天候や季節による海流の変化を考慮して1年間、月に1度1本ずつ手紙入りのペットボトルを海に投げ込む事にした。
ひょっとしたら僕の故郷に手紙が届いて、家族が迎えに来てくれるなんて奇跡も起こるかもね。
そうおどけていた彼が倒れたのは、12本目のペットボトルを海に投げ入れてからしばらくしての事だ。
日に日に痩せていく彼の身体、腹を抱えて苦しみ額には玉のような汗。
「何か私に出来ることはないか?」と尋ねた私に。
「なら僕が海に流してくれないか?
僕はあの海が故郷に繋がってると信じてる。
こんな島で絶望の中で死んでいくよりも、故郷に帰れるかもって願いながら死にたいんだ。」
か細い声でそう言って彼は息を引き取った。
彼を海へ送り出してからしばらく、近くを通りかかった船に救助された私は
彼の家族と会うために彼の故郷へと足を運んだ。
彼が好きだったという砂浜で私達が流したペットボトルを8本見つけた時、私は奇跡を信じずにはいられなかった。
それから4ヶ月間、1ヶ月に1度砂浜を訪れていた私はついに最後の1本を手にすることが出来たのだ。
「12本のペットボトルがここに流れ着いたということは、あの孤島からこの砂浜まで1年を通して海流は変化せずに繋がっている。
あの日、海へ送り出した彼もまた故郷へ帰ってくるはずだ。
私はそう信じている。」