とある凶悪犯罪者の男の身柄を時効寸前で確保できたのは、蝶が決め手になったからだという。どういうことか?
(灰色ヤタガラスさんのリサイクルです。要知識です。)
転載元: 「【蝶ますか?リサイクル】Take The Time」 作者: ZENO (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/1258
【要約】男が撮影した蝶の写真が証拠となり、男に海外渡航歴があることが判明し、その間の時効が停止したから。
20年前に起きた傷害致死事件。犯人の目星は皆目付かないまま、1週間後には公訴時効を迎えようとしていた。
その時、1本のタレコミ電話が捜査本部に寄せられた。
その電話によると、亀山カメオという男が真犯人であり、通報者である内妻は
時効を目前に良心の呵責に耐えかねて通報を決意したのだという。
早速、捜査本部はカメオの自宅の家宅捜索に踏み切ったが
既にカメオは逃亡した後であり、目ぼしい物証も出てこない。
「くそっ、せめてあと1ヶ月あれば、決定的な証拠を見つけ出してやるのに!」
捜査主任のウミオ警部は毒付きながら本棚を捜索していると、一冊のアルバムが見つかった。
しかし、そこに閉じられていたのは旅行中と思しきニヤケ面のカメオの写真ばかりで
とても証拠としての価値がありそうなものではない。
写真に印字された撮影日を見ると、数年前の7月から8月まで、約1ヶ月間のようだ。
その時、一枚の写真が目に入った。
そこには見慣れない蝶が写っていた。おそらく物珍しさにカメオが撮影したものだろう。
しかし、ウミオ警部に電流走る――! 「おい、この蝶の生息地域を調べろ!」
なんと写真に写っていた蝶は、日本国内には生息していない品種であった。
つまりカメオは、少なくともその写真を撮影した約1ヶ月間は海外に滞在していたのである。
刑事訴訟法の規定では、犯人が国外にいる場合は、時効はその進行を停止することとされている。
カメオが国外にいた期間は少なくとも1ヶ月。つまりその間は公訴時効が完成しないのである。
ウミオ警部ら捜査本部のメンバーは、残された1ヶ月を最大限に活かし
ついにカメオの身柄確保と、起訴に足りるだけの裏付け捜査を完了したのだった。
刑事訴訟法(抜粋)
第二百五十条第一項
時効は、人を死亡させた罪であつて禁錮以上の刑に当たるもの(死刑に当たるものを除く。)
については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一 無期の懲役又は禁錮に当たる罪については三十年
二 長期二十年の懲役又は禁錮に当たる罪については二十年
三 前二号に掲げる罪以外の罪については十年