カメオは喫茶店『ウミガメ』の常連客である。彼はいつもアイスコーヒーを頼むのだが、一度だけ、ホットコーヒーを頼んだことがある。その後、彼は逮捕されてしまった。何故?
転載元: 「アイスコーヒー冒涜罪」 作者: tomo (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/1133
指名手配犯のカメオは、今日も喫茶店『ウミガメ』へ足を運ぶ。サングラスとマスクを付けたまま、店の隅のテーブルに座る。怪しげな風貌だが、店の人は気にせず接してくれる。人の目線に怯えながら暮らすカメオにとって、薄暗くて客が少ないこの喫茶店だけが、唯一心安まる場所だった。
今日は雨が降っていて、朝からかなり冷え込んでいた。そんな中、暖かく、落ち着いた店の雰囲気に、ついつい心が緩んだのかもしれない。いつも通りアイスコーヒーを注文しようとして、カメオはふと気が変わった。彼は特に何も考えず、ウエイトレスに注文する。
「ホットコーヒーを一杯」
運ばれてきたホットコーヒーを飲もうとして、カメオはやや躊躇した。飲むためには、マスクを外して口元をさらさなければならない。アイスコーヒーなら、ストローを使って、マスクを付けたまま飲めるのだが・・・。
カメオは渋々マスクを外すと、カップを口元に近づけた。すると、立ち上る湯気によってサングラスが真っ白に曇ってしまった。そこで彼はサングラスを外して、ハンカチで曇りを拭き取った。
はっ。
息をのむ声が聞こえて、カメオは顔を上げた。見ると、ウエイトレスが口を押さえて、こちらの顔を凝視していた。彼は気付いた。自分が素顔を晒してしまっていることに・・・。
カメオは引きつった笑みを浮かべると、コーヒーを飲むことなく、雨の降りしきる外へ出て行った。