笑っている男が窓の外にいるのを見たカメオは、死を覚悟した。
一体なぜ?
転載元: 「窓の外の死神」 作者: 灰色ヤタガラス (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/1117
飛行機に搭乗中のカメオ。快適な空の旅、のはずだったが……
あるとき、突然機体が激しく揺れ、爆発音が響いた。大規模ななエンジントラブルが起きたようだ。
急速に高度を下げていく飛行機。しかしまだあきらめない。今からでもエンジンの状態を回復できれば、何とか、どこか適当な空き地にでも不時着出来るのではないか。カメオは、祈るしかなかった。
しかし、そうこうするうちに、飛行機の窓の外に、一瞬、男の姿が見えた。
あれは、おそらく、新宿かどこかにある、幅数メートルはある大型スクリーンだ。ニュースでも映しているのだろう。
となれば、今はもう、本当に地上付近、墜落寸前。あと1秒、いや、0.1秒もしないうちに、機体は地上に墜落、爆発、炎上し、ほかの乗客や、地上にいた通行人たちも巻き添えに、自分の体も跡形もなく燃え尽きるのだろう。
ふいに、時間の感覚が極端に遅くなった。これが、走馬燈か。死の直前、脳の機能が著しく高まり、周囲の状況を妙に詳しくはっきりと把握できるようになるという、あれか。
スクリーンが映していた男の姿が、はっきり見えた。ニュースではなかった。映っているのはドラマのCMか何かで、悪役らしき男性俳優が、カメオに向かって、死神のようにニヤリと笑っているのが、はっきりと垣間見えた。