除夜の鐘とは、大晦日の夜に108回鐘を突く年中行事だ。
一般的には、人の心の中にある煩悩を祓うために突かれるとされる。
しかし、ある男にとっては、この鐘の存在自体が悩みの種だという。一体なぜだろう?
*Q4 アシカさんのリサイクルです。
転載元: 「【悩みますか?リサイクル】I heard the mission bell」 作者: gattabianca (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/10135
*文化財的価値のある鐘は、それなりに維持費がかかる。
海亀寺では、毎年除夜の鐘を地域住民に撞いてもらっていた。
しかし、鐘にも少しずつガタがきていたので、修理に出すことにした。
「住職さん?これ、うちでは修理できないかもしれません」
「えっ?」
「ちょっと市の博物館に持ち込みます」
学術調査の結果、その鐘はちょっとした文化財的価値のあるものだということが分かった。
本来なら、博物館に寄贈するなどするべきものなのだろうが、市民に長く親しまれた鐘。
価値があるからといって急に引っ込めるのは、なんかけち臭く見えないか。
鐘は撞いてなんぼ、という気もする。
そこで、普段は雨風を凌げる屋内にしまっておき、大晦日にだけ出すことにした。
しかし、市の教育委員会から、毎年大晦日が終わったら、メンテナンスに出すよう命じられている。
その費用は当然寺持ちだし、まあまあな額である。
そんな具合で、その鐘は、住職にとってはちょっとした悩みの種なのである。