愛は別れの始まり

ユウジは、生まれてから女性を愛することが一度もなかった。
だが、最近親しくなった女アリサを生まれて初めて愛した。

しかし悲しいことに……　今まで女性を愛したことがなかったため、ユウジは自分がアリサに対して抱いている感情が愛だとはわからなかった。

ユウジは自分の感情にとまどいつつ、ある夜自宅でひとり物思いにふける。そして「やっぱり気が乗らないや、やめた」と独り言をつぶやいた。
翌日、ユウジはアリサに結婚を申し込もうとしていたのをとりやめ、さらに転居して彼女の前から姿を消した。

ユウジの行動の理由を解明せよ。
ただし、ユウジの独り言は「アリサと結婚するのは気が乗らない」という意味ではない。

アリサへの結婚詐欺をこれ以上進めないのであれば、ここにこれ以上いる理由はないと考えたから。

結婚詐欺の常習犯だったユウジは、アリサを次の標的として近づいた。
しかし何度もアリサと会ううち、いつのまにかアリサを愛してしまった。
理由がわからないながらも、アリサを騙して金を巻き上げることができない自分に気づいたユウジは、「それならもうここにいる理由はない」と判断し、次の標的を求めてアリサの前から姿を消した。

ユウジがさらに罪を重ねるのか、あるいはユウジがまたアリサの前に姿を現す日が来るのか、それは今はわからない。