職人技か職人芸か

大工の原さんからメールが来た。

「新しい家が完成したから見にきてくれ！」

以前から基礎工事がどうの外装がどうのと言っていた家が、ついに完成したとのこと。
新築と思しき家の写真が添付してある。

次の休日、私は言われるがまま原さんの自宅に向かった。
門の前で原さんの白髪頭がそわそわと動いている。

私は写真と同じ家を見て、驚くと同時に呆れた。
一体何故？

庭にミニチュアサイズの家が建築されていたから。

原「ちゃんと基礎工事からやったんだぜ？」
私「知ってるけど！ 技術と物資の無駄遣いが過ぎる！！」

さらに原さんは、この小さな家がホンモノに見えるよう、わざわざ「煽り」で写真を撮ったようだ。

ちなみに、個々の窓や扉は動かないが、北側の壁全体が扉になっている。
小さな子供ならば、中に入って寝転がることくらいできるだろう。

今は、たたんだバスタオルが二枚置いてあるだけだが。

原さん宅の庭に面した部屋から、私の娘の幼いはしゃぎ声が聞こえてきた。

「喜んでくれるかなあ？」

原さんが頬を掻きながら言った。