【いただきますか？オマージュ】same DNA, but born this way

わかりました…そうだったんですね…これまで、流石に母親の…和葉の行状まで伝えることはできませんでした。

中学生の頃から悪い道に走って、卒業するかしないかの頃に誰かわからない男の子どもを産み、家からいなくなって…。

その後、犯罪にも手を染めたと聞いたけれど、私は一切警察からの連絡にも応じませんでした。

もちろん、和葉も辛かったのかもしれません。
でも、この子、麻鈴にはなんの罪もありません。
この子を引き取った時、何があってもこの子だけは守っていこう、何一つ曇りのない人生を送らせてあげないと、って固く決めたんです。
だから、２４で和葉が死んだと聞いたときも、遺骨すら引き取りたくなかったんです…私の中では、和葉はもういないもの、としなきゃいけなかったので。

その和葉の存在が、まだ麻鈴の将来を左右してしまうなんて。
苦しくて仕方がありません。

…もしかしたら、麻鈴なら、いつか自分で調べて気付くこともあるかもしれません。
それで、私が黙っていたことを恨みに思うこともあるかもしれません。
でもそれも含めて全て、引き受けて生きていきたいと思います。
麻鈴の人生を決めるのは、私でも和葉でもない。麻鈴ですから。
ありがとうございます。

…調べてわかりました。産みの親のことは。
ママの娘が私の実の親だとしたらとても若いし、なんか事情はあったんだろうなあとは思ってました。
もいっぱい悩んだんだろうと思います。
だからこれまで隠してたなんて思いません。
私にとって、たった一人のママです。感謝しています。

…本当に身内に犯罪者がいると警察で働けないのかどうかはわかりません。
受験生の噂ですしね。

でも、ママから、その人…私の産みの親は、お酒と薬の影響で亡くなったと聞きました。
私を捨てた人であっても、そんなに苦しい思いをして亡くなったのは、やっぱり辛く思います。
そういう人を助けられるのなら、病院で働くとかも選択肢なのかな、と思うようになりました。
それか、そういう家庭に関われる裁判所とか、児童相談所の職員とか。
もう少し、色々と考えてみます。ありがとうございます。

庄内瑞恵：６２歳。保険外交員。娘の和葉に代わって孫娘の麻鈴を育ててきた。麻鈴にはママと呼ばれている。１０年前に夫を亡くし、以後、麻鈴を育ててきた。
庄内麻鈴：２１歳。心理学を専攻している女子大生。成績優秀、明るくてしっかり者の性格。現在就職活動中で、心理学を生かせる公務員になることを希望している。９歳の時に「ママ」が祖母であることを知らされているが、変わらず瑞恵をママと呼び続けている。
庄内和葉：麻鈴の生みの親。瑞恵の娘。若い時から非行化し、１５歳で麻鈴を産んで、家を出て行った。その後も犯罪を繰り返し、薬物とアルコールの濫用により、２４歳で命を落とした。