マミが昔の恋人のタクロウと一緒に砂浜を歩いている。
「そういえば、ここでタクロウと海を見てたことがあったな」マミがそうつぶやく。
しばらく止んでいた春風が吹いてくると、タクロウはマミの髪をそっと撫でてその場にとどまった。
しかし、マミは足を止めることも振り返ることもせずに歩み去った。
いったいどういうことだろう。
転載元: 「春風」 作者: GoTo_Label (Cindy) URL: https://www.cindythink.com/puzzle/8296
ひとりで砂浜を歩く、老齢に差し掛かった女マミ。
少し離れた上空で散骨された、見えないほどのタクロウの骨のかけらが、風に乗ってマミの髪に落ちてくる。
しばらく髪にとどまったかけらは、ふたたび吹いてきた風に吹かれ、髪に沿うように舞って砂浜に落ちた。
これらに気づくことなく、マミは砂浜を歩み去っていった。