【パンますか？リサイクル】there is just one thing I need

「プレゼントは当然要らないわよ？あなたたちが用意出来るぐらいのものだったらなんでも手に入るし、このパーティーは私があなたたちをもてなすためのものなのだから」

ルリスお嬢様はそう公言していた。
稀に、何か持ってくるゲストもいたが、ルリスは顔として受け取らなかった。

そんなルリスのパーティーに、今一つ楽しんでいない様子の男がいた。同じ大学の賢人である。
成績はルリスと争うぐらい優秀だが、生真面目で、性格的には真逆だ。
決して仲が良いわけではないが、優等生同士のよしみで、声をかけたといったところだ。

「気に入りませんね。何か贈り物ぐらいさせてもらわないと、逆に気が引けてなりません」
「私を喜ばせるのがいちばんのプレゼントではなくって？そして私が喜ぶのは、皆が私の言うとおりに従うことなんだけど？」

皆（賢人以外）が盛り上がっている中、ルリスがふとデコレーションに目をやると、「HAPPY BIRTHDAY」のBの風船が下がっていた。
どうやら空気が抜けているようだ。

そんなこともあるだろうと気にもとめず、ルリスはホスト役を全うした。

パーティーはお開きになり、ルリスはゲストを全員見送った。
大広間に戻ったルリスが、落ちた風船を拾い上げると、なんだか重い。
それは空気が抜けているだけではなかった。
風船の中には、小さなスワロフスキーのチャームが入っていた。

こんなひねくれたことをやるのは賢人しかいない。
正攻法では私が受け取らないと思って、こんな回りくどいことをやったんだろう。

「…仕方ない人ね。まあ、だからと言って突き返すような無粋な真似はしたくないわ。これは特別に受け取って差し上げてよ。」

そうルリスはつぶやいて、チャームをクラッチに入れた。