【蝶ますか？リサイクル】儚い命

カメオは蝶だ。 ある日、自分が人間になる夢を見た。 次の日、カメオは死んだ。 いったい何故？

メトロノームさんのリサイクルです。

カメオは、夢の中で人間になり、そこで別の人間・ウミオと、夢の世界を通してつながった。

夢の中でだけ、人間として言葉を発することが出来、ウミオの言葉を理解することも出来たカメオは、そこで、ウミオが、自分は明日、車にひかれて死んでしまうのだ、という話を聞かされる。

起きているときのウミオには、そんなことは分からないが、蝶のカメオの心ともつながっている夢の世界で、特別に、明日死ぬという運命を、直感として感じることが出来たという。

カメオはそれを聞いて、決意した。ウミオの代わりに、自分が死ぬ、と。

夢の中の世界で、カメオは理解した。自分が望みさえすれば、夢でつながった心を通して、ウミオの運命を、代わりに自分が背負うことが出来る、と。

ウミオはそれを拒んだが、カメオは、どうせ自分は蝶だし、この夢から覚めれば、人間の言葉も話せなくなってしまう、人間のウミオに比べたら、そんなに価値のある命ではない、と言う。ウミオも、カメオの覚悟に、最後にはあきらめ、カメオに、自分の運命を託すことにした。そうして、一匹の蝶と一人の人間は、夢の世界から戻った。

ウミオは、夢の世界から目が覚めた時には、蝶のカメオと会って話したことなどすべて忘れており、一方で蝶のカメオは、蝶としての知能に戻っており、ウミオと話したことも何もかも忘れたまま、ちょうど地面に降りたところを、車につぶされて死んでしまい、ウミオの方は、その後何十年と生き続けたのであった。